コラム

砂糖の話 黒糖 -その2

黒糖を製造している七島について。

― 伊平屋島 ―
沖縄本島の北部から北西約40Kmに位置する北東~南西に細長く伸びた形をした島です。島人口は1300人程度、山があり豊かな水に恵まれたサトウキビ畑が広がるのどかな村で黒糖は作られています。硬くて大きな粒でゴツッとした外見が特徴です。工場施設が小さく生産量も少ないため、流通しにくく食品原料として使用するのは難しいのが現状です。(年間生産量約500トン)

― 粟国島 ―
沖縄本島の南西部から北西約60Kmに位置する、かつては粟の産地としても知られており、島の名前の由来にもなっています。現在は、「粟国の塩」で知られています。黒糖は七島の中でも最も昔ながらの製法(直火鍋製法)で作られていて、絞り出したような個性的な形と独特の風味に特徴があります。ただ生産量が非常に少なく不作の年には年間生産量も100トンに満たない時もあり、希少価値の高い黒糖としても売られているほどです。

― 多良間島 ―
宮古島と石垣島のほぼ中間に位置し、東西に約6Km、南北に約4Kmの楕円形をした島で、隆起サンゴ礁からなるため島全体が平坦で山や河川がありません。島のほとんどが耕作地で、サトウキビ栽培が盛んな純農村の島。リゾート開発が行われていないため、島を訪れる観光客は少ないです。単位面積当たりの収穫量が七島の内でも最多で、全体量の約4分の2を占めているため平成16年の多良間島が大不作の年には、純黒糖が入手できない状態に陥り安定的と考えられていた黒糖も、ユーザーから不安視され純黒糖から加工黒糖にシフトするユーザーが多くなったのもこの年からでした。黒糖の特徴は、焦げ茶色した長方形で少し硬めのしっかりとした粒で、「これぞ黒糖」という味がするとの意見が多いです。生産量が多く内地に向けても出荷されているので、製菓原料としても使われている先も多く、安定した品質が決め手となっているようです。

― 西表島 ―
沖縄本島に次ぐ大きな島で、島の面積の90%が亜熱帯の自然林で覆われ、平地がほとんど無い人口約2,000人程度の島です。東洋のガラパゴスとも言われ、特別天然記念物のカンムリワシやイリオモテヤマネコなどの珍しい動植物の宝庫でもあります。
西表島の黒糖工場は1工場あり、年間の平均生産量は1700トン弱です。(七島の中で三番目の生産量となっています)製造方法のボイラー方式が他島と違う事や、栽培土壌は弱酸性からアルカリ性の暗赤色土などの影響から、出来た黒糖は七島の中でも最も白色です。味は見かけとは違い、しっかりとした甘みに黒糖らしいえぐみや香りがあり、他島とはまた違うコクが感じられます。

― 小浜島 ―
石垣島と西表島の間に広がる日本国内最大のサンゴ礁「石西礁湖」内に位置する島。NHKの連続テレビ小説「ちゅらさん」の舞台となって、全国的に有名になった素朴さ残る美しい風景いっぱいの島です。そのドラマにも登場した、両脇に広がるサトウキビ畑と先に見える水色の海が映され一躍有名になった、一本道のシュガーロードは今も人気観光スポットとして多くの方が訪れています。島内には、黒糖工場が1工場あり、生産量は年間平均約450トン弱で、七島の中では六番目と量は少なく希少性が売りの黒糖でもあります。量がないため、本土で製菓用として使われることはなく、島内での使用やお土産物としての小袋詰めの販売が主です。小浜島の土壌はアルカリ性の灰色台土地で、黒糖の見た目はチョコレートのような外観が特徴です。

― 与那国島 ―
石垣島の西方130Kmの位置にある日本最西端の島です。島からは、台湾が見える国境の町でもあります。低地で水田、台地でサトウキビが栽培されている大変起伏の激しい島ですが、自転車で3~4時間程度走れば一周出来る小さな島です。島の南海岸には波で浸食された断崖絶壁が多数あり、名所にもなっています。以前、フジTVにて放送されていたドラマの「Drコトー」のロケ地としても有名です。
島内には黒糖工場が1工場あり、生産量は年間約500トン程度で、七島の内四番目の糖産量です。黒糖の品質規格基準に定められている格付けも、生産される黒糖が「特等」の企画基準に認められる品質の高い黒糖です。色は土色をしたキャラメル型で、えぐみが少なく黒糖らしいコクのある甘みと苦味を味わえます。ただ、製菓原料としての利用は、流通経路が複雑なためにルートは限定されており一般に業務袋を見かけることが少ない黒糖でもあります。

― 波照間島 ―
石垣島の南西約56Kmに位置する日本最南端の友人島です。波照間という表記は当て字で、「果てのうるま」(うるま=琉球、またはサンゴ礁の意味)に由来するという説が一般的。日本国内で南十字星を好条件で観測できる数少ない島として有名です。産業はサトウキビ栽培と製糖が主に行われています。島の成因は隆起サンゴ礁ですが、比較的起伏が大きい島で土壌は弱酸性からアルカリ性の暗色土です。島内には黒糖工場が1工場あり、年間生産量は平成20年~21年で1830トンと、七島の中で二番目の生産量になります。そんな環境の中作られる黒糖は、濃厚な香りと深い味わいがありますが、あっさりとした上品な甘みで食べやすいという評価の多い黒糖です。安定的で品質の高い波照間産が信頼され菓子原料としても使用されることが多くなり、需要の幅を広げています。

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